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カジマヤーとカジキ。



「二月風廻りねむれる島起こす」 小熊一人。
八重山手帳の3月に紹介されている一句だ。
旧暦の二月頃に吹く風を島では“ニンガツカジマヤー”という。
この句の頭も“にがつかぜ”と読むより、“カジマヤー”と読む方がしっくりくる。
カジマヤーは風車のことでこの頃に吹く風は、くるくると瞬時に方向を変えることからこう呼ばれている。
海で仕事をしていると風の吹いてくる方向は、常に生死に関わるほどの重大な情報だ。
ぼくのような小さな船で出漁しているならなおさらで、その日北風が吹くと予報されていれば、漁は島影の南側を選ぶことになる。
それでもカジマヤーの時期は油断できない、瞬時に北風が南に廻ったりする。
短い時間で方向を変えてくるのでカジマヤーの風はスピードも力も強い。
石垣の海も四年目になりカジマヤーが吹きそうな“やばい日”は海に出ない知恵も学んだけれど、はじめの頃はずいぶん背筋の寒くなる経験もした。
そのカジマヤーが旧暦も三月に入っているのに、今年はまだ落ち着かずに駆け回っている。
海人のオジーもこんな年は珍しいと嘆いている。
ようするに異常気象が石垣島にも及んでいますというだけの話なのだけれど、今年はもう一つ違う形で“カジマヤー”が吹き抜けた。
例の銀座奈津の旦那から電話が入った。
ディテールを細かくするとやたらと長い話になるのであらすじだけ。
-おう、そっちじゃカジキ釣れてんだって。
石垣より与那国だと思うけど。
-来週行くから切符とってくれよ、マイレージで、番号と暗証番号は○○○ね。
来週は・・・直近過ぎません?
-腰治ったんだろ、オラとこの温泉で。
そうこうありまして電話から六日目には那覇観光を経て、与那国一のカジキ釣り名人上原船長の船の上です。
まずエサに使うカツオを釣るのだけれど、これが一分も経たずに釣れる。
どうなっているんだこの海はと思う間もなく、“いんどうさん釣は船長だな”と容赦ない。
与那国島は日本で最初に黒潮がぶつかる島なので、港からでもカツオが釣れるほど魚影が濃い、腕だけのことではない。
待望の一発がきた。
一升瓶の半分ほどもあるどでかいリールに巻かれた糸が快音を響かせてどんどん出てゆく。
ドラッグと呼ばれるリールのブレーキは一杯に絞ってあるけれど、その魚の力を示すようになんの苦もなく糸は海に吸い込まれてゆく。
-いんどうさん!ラインは足りるかね!!
旦那のリールですから、あんたが分かるさ。1000メートルは巻いてあるはずだし。
上原船長はカジキが止まると見るやリールを巻けと指示する。
巻かれればまたカジキは走り出す、止まれば船長の指示で巻く。
これをくり返すこと二十分、上がってきたのは130キロのブルーマリーンだった。
-いんどうさん、与那国はいいところだ。船長ありがとう、いやー満足、帰ろう。
???もう一匹釣るんじゃないんですか?
-欲張るんじゃないよ、一匹で十分だろカジキも資源、また今度。
えーっわたしはどうなるわけ、飛行機とってホテル予約してべつにいいけど舟代わりかんでっせ旦那。
-次はいんどうさんから釣らせるから、いいんじゃないの。
ぜったい嘘だ、あんたはカジマヤーより読みにくい。

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