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デントウ潜り。

沖縄には“電灯潜り”という手法があり、文字通り夜間電灯をかざして、寝ている魚を潜ってつかまえる漁のことです。
もちろん魚ばかりではなく、夜間に行動する海老やカニも絶好の獲物になる。ねらう魚は主にイラブチャーと呼ばれる、沖縄では高級魚のアオブダイ。
このイラブチャー昼間は警戒心が強く、なかなか人に寄ってこないけど、夜になると自分が出した粘膜の中で寝てしまうユニークな性質を持つ魚。
寝ている魚を捕まえるのだから、山の中で栗を拾うように容易い。
長いステンレス棒の先を少しばかり尖らせておいて、エラの固そうなところをねらい定めてサックと刺せば難なくイラブチャーはしとめられる。
あとは良さそうな穴を見つけては覗き込み、海老やカニを余録に探せばよい。
運が良ければシャコガイやタカセガイ、夜光貝なんて大物も見つかるらしい。
ことばで言ってしまえばそれだけのことなのだけれど、場所は空気がない海中でのこと様々なリスクが伴う。
多くの電灯潜りの海人はダイビングで使うようなボンベは使わず、フーカーと呼ばれる、船上のコンプレッサーから直接ホースをつないで空気を取り入れる潜水方法が使われる。
このフーカー潜水だと絶えず船上から空気が送られてくるので、いちいちボンベの残圧を気にすること無く、何時間でも海中で作業することが出来る。
ただいいことには必ず欠点もあるもので、潜水中なにかのトラブルでエンジンが止まってしまうと空気はそこで突然途絶えることになる。
港湾関係の作業ならエンジン一基に、管理者一名の常駐が義務づけられているので少しは安心なのだけれど、電灯潜りの海人は単独で出漁する場合が多い。
(ぼくもかつてこのフーカーで港湾作業をしていたとき、水深20メートルで突然空気がこなくなった経験がある。あわてて浮上してみるとエンジン係の金子氏は昼寝をしていた。今はこの氏の娘が愛艇“千夏”の由来です。)
なぜ単独で漁をするのかには複数の理由があると思うけれど、根本的なところで“漁”は一人のものということがあるように思う。
知り合いの海人吉英さんに聞くと、夕方港を出てうっすら回りが見える頃まで目的地に船を入れる。
暗くなり必要なだけ獲ったらデッキで星を見ながら寝て、朝のセリに間に合うように港に帰る。
そして風呂に入って島(泡盛のことを石垣ではシマと呼ぶ)を飲む、一人がきらくさー、と言う。
激しく憧れる、だけれど夜の南海には、明るいものに突っ込んでくる“ダツ”というやばい魚が潜んでいる。
「ダツ怖がってて海人できるわけぇ」
って漁協のおばーは簡単にいうけどねー、こんなのが昼間も釣れる海に一人で夜間はね、どうなの。


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