<< エンマゴチ。 | main | 日野皓正クインテット来島。 >>

アカマタ、クロマタ。

宮良地区の豊年祭“赤マタ、黒マタ”を見た。
一切の録音も撮影も許されない同地区だけの秘密の祭事だ。
近ごろの祭りでは珍しく観光客に開放されていない。
石垣島に暮らして三年、宮良に奇祭があると聞いていたが、写真一つも紹介されていないこの祭事を想像することもできなかった。
宮良地区のことは石垣島観光の成底さんに聞くしか無い。
さっそく “赤マタ、黒マタ”をどうしたら見ることが出来るか電話をした。
夜の八時頃に村の広場から“赤マタ、黒マタ”は出発すると言うのみで、どうも歯切れが悪い。
電話を切った直後にわざわざ返信をくれ、くれぐれも写真と録音はしないようにとの注意。
祭事中は携帯電話も禁止で、毎年知らずに携帯電話等で撮影した観光客が、カメラや電話をこわされているとのこと。
20年ほど前には隠れて撮影しようとした、どこかの記者が死亡した例もあるという。
ぼくの職業柄を知っている成底さんは、心底心配している様子だ。
市内から宮良川の橋を渡って坂を上り詰めると、そこからが宮良の村だ。
いつもは太陽が似合う明るい素朴さをたたえた宮良の町並みが、今晩は漆のように黒く沈んでいる。
車を置き歩きはじめて気がついたのだけれど、村中の街灯と信号機が消されていた、自動販売機も電気が入っていない。
“赤マタ、黒マタ”今は下の家を回っているはずだと、成底のオバーが教えてくれる。
たしかに太鼓の音が遠くから聞こえて来るけれど、台風六号の影響が残る今晩、風が回っているからなのか音の方向が定まらない。
右から聞こえたと思うと、左から聞こえはじめる。
行き先を迷っていると仏間の軒先を大きく開けて、親族が正座している家が目についた。
お願いして入れてもらうことにした。
ここでも写真を撮らなければよいとのこと、こころよく玄関の脇から見ることを許された。
仏間に列んだ親族は男性は赤いはちまき、女性は白いはちまきを締めている。
着ている浴衣は女性でも地味な絣模様位で、内地のような派手やかさはない。
屋敷の前の道路がいっそう暗くなったと思った時、太鼓の音とともに二本の旗頭が門を割って入って来た。
そのすぐ後ろに“赤マタ、黒マタ”が続いていた。
写真が撮れないので見たママを説明するしか無いのだけれど、数字でその大きさを列記しても直接見た驚きを伝えられないように思う。
もし北海道に生息するヒグマが、全身青草で覆われていて、その耳のところから左右に尾長鶏の尾羽ほどの“穂”が生えている。
顔はヒグマよりも大きい、男がアカで女がクロ、目は夜光貝のように光っている。
一軒での祭事は十分ほど、ひとしきり踊ると、太鼓の音とともにつぎの家に消えていった。
青草のニオイだけが残った。
家人は大事を終え順番に豊年を願い先祖に祈りを捧げている,女性が見えないのは酒宴の準備のためだろう。
“赤マタ、黒マタ”が来る前道が暗くなったのは、前を通る国道の車を祭事中全て止めたからだと後で知った。
もう一度他の家で見ようと後を追ったけれど、音の方向がつかめずたどり着けなかった。


コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM