<< ”ガテン”25号 6/6発売。 | main | ダツ 釣れました。 >>

カンパチ ゲット。

海人の一本釣りは竿もリールも使わない。
絡みにくい渋糸の先に、釣る対象に合ったナイロンのテグスをつなげる。
茶色をしている渋糸だけでは魚にバレてしまうので、針から数メートルは魚に見えにくい透明なナイロンの糸をつなげる。
沖縄の海人はこの仕掛けのバリエーションで一匹100グラムのグルクンから、数百キロのマグロまで釣り上げる。
スポーツの釣りならいかに細い糸で大きな魚を釣り上げたか、が記録になるけれど 海人は釣りあげたか逃がしたかが全ての評価。
針に食いついた魚は例外無く、渾身の力で海の中を泳ぎ回る。
細い糸でより大きな魚を釣り上げるためには、予測できない魚の動きを受け止めてくれるクッションが必要になる。
魚が突然海底に潜り込もうとした時に、糸をピンと張ったままでは糸が切れるか、針が口から外れてしまう。
大雑把に言ってしまえばそのクッションの役割を、竿のしなりやリールのドラッグがおぎなってくれる。
石垣島にきて大物釣りの可能性もまんざら夢ではなくなったと、胸膨らましていた頃は竿やリールにもお金をかけましたそれなりに。
ジャジーィーと唸りながらけたたましくリールから糸が海に引き込まれていく、竿は弓なり、切れない糸に阻まれて垂直に潜水できない魚は左右に泳ぎまくる。
張りつめた糸は独特のうなりを上げて海面を切る。
“松方弘樹カジキを釣る!”あの感じですね。
憧れました近頃までは、でもその竿とリールを使わない海人は、自らの腕と指先の感覚で、暴れ回る魚をなだめすかしながら格闘するのです。
俄とはいえうみんちゅう生活も二年目に入ると、漁場で自分だけ竿で釣っているのは、ちょっと浮いていることに気がつく。
やはり海人である以上、海人のように竿もリールも使わず“大物”を釣り上げてみたい。
何事もまずは模倣から、海人が使う渋糸の先に3.6メートルのナイロンテグスをつけ、カレーを食べるスプーンよりやや大い針を結んだ。
エサのグルクンは左右で25センチは越えている、これに食い付いてくる魚なら、今の気分に不足はない。
右手人差し指の第一関節に渋糸を引っ掛け、海底に落ちてゆく唐揚げグッドサイズのグルクンを、弱らせないよう親指で糸のスピードを調節する。
30メートル下でグルクンの泳ぎが糸を通して伝わって来る。
この感じはあの“松方”釣りでは味わえない。
大物よいつでも来い、と一人悦に入っていると「その時、歴史は動いた」。
人差し指にはわせていた渋糸がすすっと動いた刹那、一気に数メートル糸が引き込まれた。
グルクンをくわえたのが何物かわからないが、針を確実に掛けるため引き出される糸をグーで掴み関節でフックを掛け出てゆく糸を止める。
あきらかに違う感触が渋糸から伝わって来る、何物かに針はかかり一瞬時が止まった。
まさにその時魚が走った、海人の正念場がやって来た。
人差し指の関節で糸を止めたその瞬間「熱っ!」「アッツ!」
繰り出される糸のスピードが速くてとても指では止めきれない。
後は出てゆく糸を止めるため足で踏んだり、雑巾探したり、あたふたしながら何とか釣り上げたのが6キロのカンパチだった。

海人の道はさらに遠い。




コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM