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寄る年波の話。



とうとう今年もカレンダーがあと一枚になってしまった。
カレンダーの紙も頭の髪もね、少なくなって気がつくよな、もう少し大事にしておけばよかったと。
ぼやいたところではじまらないけれど、このままやり過ごせばまた新しい一年が来るさと、ちょっと前なら思っていたけれどこの頃はそう気楽ではいられない年齢だ。
先週座骨神経痛らしいというので病院に行ったら、名前が呼ばれるまで一時間
問診15秒、先生曰く「座骨神経痛かな?検査しましょぅねっ」。
レントゲンにはじまり骨密度の測定、電気治療に温熱治療、牽引治療ときてウオーターベッドを各十五分ずつはさんでMRIときた、ここまでしめて約三時間。
この間検査用のモックのようなものに着替えさせられ、携帯もメガネも現金も病院のロッカーに封印されてしまった。
この年になって幼稚園児が着るようなスモック一枚で、膝から下は素足にスリッパだけという格好で待合室に投げ出されると、今までの自分は一体なんだったんだという気分にさせられる。
願はくば知り合いにだけは会いたくない。
もちろん狭い島のこと三時間も同じところにいて誰とも会わないわけが無い。
さしみ屋のおかぁーさんに漁協の組合長とどめは常連のインストラクターまで。
「いや、たいしたことは無いんです、ただの検査で、すみません・・・」
なにがすみません何だか自分でも分からないけれど、人は着るもの一つでプライドを奪われるということが分かった。
とどめはMRIだった。
コンクリート打ちっぱなしにベージュのペンキを塗っただけの無味乾燥な空間にどんと置かれた怪しげな機械。
寝ると身体がぶれないようになのでしょう砂袋くらいの重さのベルトで身体が固定される。
「えんどうさん、十五分くらいかかりますからねっ、気分悪かったこのボタン押して下さいね」
モーターの音とともにベージュの筒が視線を遮った、ぼんやり明るいけれどどこにもピントが合わない。
首が動かせないから天井を見るしか無い、目をつぶればいいのだけれど、一度入り込んでしまった不安から人はそう簡単には抜け出せないらしい。
そこからはほぼパニックだった。
心拍数が上がるのが分かる、背中と額にいやな汗をかいているのを自覚できる。
どのくらい過ぎたときだろう、きっと一分も経っていないに違いない。
妙に首の辺りが苦しい、限界だった。
ボタンを押すと数人の駆け寄るスリッパの音が聞こえ、どうしました!あちらも何事だろうと緊張した声。
手早く砂袋をはずされ、うちなんちゅうの毛深い腕で抱き起こされて、大丈夫ですか!
「すみません、ぼくちょっとばかり閉所恐怖症なんです」
毛深い技士は笑いもせずに、そんな風には見えないけどね。
四時間を要した検査後の先生の見立ては“座骨神経痛”、出た薬が七種類。

コメント
スモック一枚……笑
想像してます。
  • YUMI
  • 2009/12/05 6:13 PM
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