グラップリング・BBJ

日曜日に石垣島で初めてのグラップリングのトーナメントがおこなわれた。
グラップリングでは”殴る””蹴る”といったスタンディングの技は禁止されている。
相手を倒して首や手足の関節を取り合うことで勝敗を決する格闘技だ。
今では日本中で大会がおこなわれる格闘技に成長したけれど、歴史は長くはない。
日本で最初に関節技の試合が認知されたのは、1988年頃に話題になったUWF。
極真空手に代表される立ち技格闘技全盛の時代に、関節技は地味で分かりづらいと一般化することはなかった。
その後藤原組、パンクラス、RINGSといった諸格闘技団体に引き継がれ、各団体が一般にも道場を開放しアマチュアにも楽しめる格闘技に成長させてきた。
90年代に格闘技会の黒船といわれるヒクソンン・グレーシーが、バーリトウドと呼ばれる大会に柔術で参加し、スタンディングの選手を次々に破ったことから”地味でわかりづらい競技”が一般にも認知されはじめた。この波動がその後のPRIDEやUFCに繋がってきた。
僕はひょんなことからこの格闘技の変遷を身近で見てきたけれど、今回の石垣島でのグラップリングの大会に触れてこの格闘技が大きく変わろうとしている、という気がした。
関節技は”地味” という印象が強いけれど、その内容は非常に危険な技が多い。
関節技という言葉が示すように、本来は曲がらない関節を逆の方向に力を加えることで相手を負かす。
力の加減では二度と回復しないダメージを相手に加えることが出来る。
極端な表現をすれば、蹴られて骨が折れてもいつかは回復するけれど、一度延びきった間接は二度と回復しない。
それだけにこの格闘技をスポーツとして勝敗を決する場合、かなり高いレベルでの自制心と相手競技者へのリスペクトが重要になる。
今回の石垣島BBJトーナメントを見ていて感じたことは、熱い闘争心をかき立てながらも高度なチェスを楽しもうとする”紳士達”がマットの上にいたこと。
腕を取られたら足を取る、左の腕を狙わせれおいて首を狙う、どれだけ早く先を読み実践できるかが実力の全て。
いつだったかバトラーツの石川雄規が”グラップリングの醍醐味は相手に”まいった”と言わせることですよ。スタンディングでKOされても後でいろいろ言える、でもタップを取ればなにも言わせないでしょ。相手が強くなれば自分はもっと練習する。その自分からタップを取る選手にはやはりリスペクとしますよ。”
彼はそう僕に話した。
荒々しい男の格闘技だったものが、20年経ってスピーディーでクールな競技に育っていることを石垣島で発見した。
次回は来年三月におこなわれるそうだ。
またあのさわやかな汗に出会うことが出来る、楽しみだ。


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